fbpx
Loader

アジアン・ポップスがアメリカでブームに。それまで山あり谷あり

この記事を English (英語)で読む

あらゆる人気の記録を破り続けてきたK-POPグループのBTS (防弾少年団)。2019年2月、グラミー賞授賞式で「最優秀R&Bアルバム賞」を紹介してグラミー賞ステージに登壇した初の韓国出身アーティストとなった彼らは、グラミー賞最優秀レコーディング・パッケージ賞にもノミネートされた。

このバンドは、3年引き続いて、2019年度ビルボード・ミュージック・アワード(BBMA)でもトップ・ソーシャル・アーティスト賞を受賞したばかり。あなたは、この4月にTV「サタデーナイトライブ」で、彼らが大ヒット中のニューシングル“Boy With Luv.”をパフォーマンスするのを見たかもしれない。その曲を含む彼らの新アルバム“Map of the Soul: Persona,”は、U.S.チャートでナンバー1、日本のチャートでNo.2を達成。このグループがボーイ・バンド世界ナンバー1と、いつも言われるには訳がある。彼らの国際的な人気は得るまでが大変だったわけだけど。

ビルボード・ミュージック・アワード受賞後、BTSはオンラインで人種偏見に直面する。アジアンポップスアーティストの勝利を許さない人たちがいた。「誰、あのアジアンたち?」というツイートの多いこと。「K-POPはやはり不適切だ。BTSが受賞したからって、アメリカじゃ誰も韓国の歌を聞かないよ」と、一人のツイッター。

こんな状態の中、BTSの名声や認識は、アジアンポップスアーティストたちが世界をロックしなきゃならないパワーを見せつけてくれるようだ。音楽業界はまさにそれを必要としている。南アジアンポップスアーティストたちは過小評価されている。東アジアンポップスミュージックは西洋の国々でいろんな成功を収めるようになったのだ。もう西洋のミュージックシーンに彼らは属さない、なんていう彼らが直面するステレオタイプを無視することなんてできなくなっているはず。今回はJ-POPに関するステレオタイプに視点をあて、これからどんなステレオタイプを克服すべきか検討してみよう。

J-POPは、西洋市場においてK-POPほどの位置付けにない。成功したJ-POPというと、特殊な市場である日本のアニメや”カワイイ”カルチャーに属するものだけのように見える。K-POPの方が、サウンド自体がもっと主流なため、より海外のファンたちにアピールしやすいのだろう、というもある。つまりJ-POPは独特ジャンルだと思われている、ということだ。だから、西洋の主流の観客にとっては近づきにくい。

J-POPを楽しんでいる多くの人々も、似たようなカルチャーのニッチに属す人たちと思われているようだ。例えば、きゃりーぱみゅぱみゅは、アメリカのツアーを繰り返し海外での成功を楽しんでいる。彼女のコンサート会場ではファンたちはカラフルなヘア、宝石をちりばめた目など、日本のカワイイ・カルチャーを示すものに身を包んでいる。きゃりーぱみゅぱみゅのミュージックビデオも、素晴らしく奇妙。1億4700万回視聴されたPONPONPON は、部屋中に玩具、気味悪い目玉、そしてピンク色のチュチュスカートを履いたマスクをかぶったダンサーたちがフィーチャーされている。そして彼女の楽曲 Tsukematsukeru なんて、つけまつげをつけることだけについて歌われたもの。そんなきゃりーぱみゅぱみゅや、アニメでフィーチャーされるアーティストたちは、カワイイ・カルチャーやアニメをよく理解している多くのファンたちを魅了する。でも同時にアーティストたちは、カワイイ・カルチャーはカワイさをシリアスさに引き換えて提供してるだけだ、という西洋のステレオタイプに立ち向かっていかねばならないのだ。

きゃりーぱみゅぱみゅ – PONPONPON
BABYMETAL – Distortion

“Can J-Pop Band Babymetal Win Over Actual Metal Fans?「J-POPバンドBabymetalは、本場のヘビメタファンを唸らせるかどうか」という『TIME』誌の記事タイトルが、その状況をよく示している。
Jアイドル音楽とメタルというフュージョン、Babymetalがメタルのジャンルにはいるのかどうかが議論になるということは、J-POPが誰でも受けいれらるものだという概念を、世間が持っていないことを示している。「一時的お騒がせの馬鹿げた奇妙なものと、世界規模で持続できるバンドになること、そこには違いがある」と、その記事は綴っている。

でも、Babymetalには成功するだけの資質がある。J-POPへのステレオタイプが存在する中、J-POPへの人々の理解もあり、そしてバンド独自のユニークなアピールもあって、Babymetalイギリスの大型フェス 「Sonisphere Festival UK」で6万5千人の観衆の前でのパフォーマンスを成功させ、Red Hot Chili Peppers、Korn、Metallica、Lady Gagaのツアーサポートも行った。そして、彼女たちのアルバム『METAL RESISTANCE』がアメリカ・ビルボード誌の総合アルバムチャートにランキングされ、53年ぶりに日本人アーティストがTOP40入りしたのだ。今日、彼女たちは世界中の何十万ものファンたちに応じている。アメリカでの初のアリーナツアーの計画を発表したところで、カルフォルニア州のAftershock 2019での公演が予定されている。

私たちはアジアンポップス音楽が、これからもっと、彼らの真価、そして彼らの独自のサウンドや美的感覚でも認識されていくことを願う。結局のところ、シリアスにカワイイ曲は、シリアスにいいヒットになり得るはずだから!

エンターテイメント業界で活躍するアジアンの多様性の欠如、アジアンが直面していくステレオタイプのチャレンジを持っても、BTSのようなグループへの認識の高まりで彼らの音楽がシリアスな認識を西洋で得ることを願うアジアンアーティストたちにとって状況は上向きになりつつある。彼らがロックし続けられるよう、注目していこう!

この記事を English (英語)で読む

ゾイ あずま マーティン
zoe@trendandchaos.com

ゾイは「トレンド&カオス」のスタッフライター・編集者。20歳でニュースクール大学を首席で卒業し文学士号を取得。現在はNY市の大学院で文芸の修士課程を勉強中。Instagram