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Eito Asano NFT Artist

日本の伝統的な浮世絵とポップカルチャーの出会い〜 NFTアーティストEito Asano

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私は常に、クラシックなテクニックとポップカルチャーをシームレスにブレンドできる現代のモダン伝統主義者とも呼ぶべきアーティストたちに魅了されてきた。そんなアーティストは深く彼らの芸術形態の歴史を理解する一方、その伝統に新しい美的感覚や前向きな視点を送りこむからだ。

そんなEito Asanoと初めて出会ったとき、彼は何か本当にスペシャルなことをしようとしているぞと思った。彼は日本の浮世絵の木版画スタイルをデジタルアートプロセスやアニメーションとモーフさせていた。

Eitoの作品は、日本の伝説で語り継がれるスピリットまたはモンスターであるYokai(妖怪)から触発されたものだ。

妖怪は、出会う人に迷惑をかけるいたずら好きなクリーチャーだが、幸運な通行人に幸運をもたらす妖怪もいる。魅惑的な妖怪については、この記事でも取り上げた。

Eito Asanoは、まだNFTの世界では新入りだが、彼の作品はすでにコレクタブルとして話題を呼んでいる。彼のFoundationの作品はどれもすぐに売り切れだ。それは彼の各作品の質とユニークな物語性を考えれば驚くことではない。

Eitoはこのコミュニティにとっての柱となる存在でもある。彼はTwitterやClubhouseで多くの時間を費やし、どうやってこの新境地へ参加していけるかを教育し、各アイテムの売上の一部をチャリティに寄付している。 これは、NFTスペースのコレクターたちにとって大いに役立つ活躍だ。

私はEito Asanoと座って話す機会に恵まれた。彼の作品、NFT、彼がどうやってコレクターたちと接触してコミュニティを構築しているかなどを聞いた。

浮世絵とは何ですか?また、浮世絵を題材にするまで至る経緯を教えて下さい。

浮世絵とは、江戸時代に発達した日本の伝統的な木版画の技法です。当時は大衆の娯楽とされ、雑誌のように楽しまれました。特に美人画や歌舞伎俳優のブロマイド、風景画などが人気を博しました。
また、浮世絵が完成するまでには、絵師、彫師、刷師、版元など、複数の匠が長年培った技術を要します。

浮世絵の中でも、妖怪画に私は特に感銘を受けました。
皆さんもご存知のように、妖怪とは日本の民間伝承の怪物です。近年では妖怪ウォッチ、一昔前はゲゲゲの鬼太郎のように、今でも変わらず人気の高い題材です。
中学生から海外生活を始めた私にとって、浮世絵との出会いは自身の日本人としてのルーツ、大和魂を再確認する良い機会となりました。

ポップカルチャーと浮世絵を融合させるにあたって、作品の歴史的な正確さを保つためには、どのような工夫をしていますか?

私が制作している「百鬼夜行」はデジタル浮世絵のコレクションです。題材とする妖怪はできる限り全て史実に基づいたデザイン、またストーリーとなっています。水木しげる先生や柳田國男先生の著書を特に愛用しています。

普段は医学生の身である私であるからこそ、このように文献を参考して史実に基づいた作品制作を行っています。

とはいえ、昔のものをそっくりそのまま真似るだけでは面白くありません。そのため、私はアニメーションをつけて浮世絵を動かしてみたり、奇抜な柄を使ったりと、様々な工夫をしています。先日発表しました「#003 狗神 白児」はその典型で、Twitterで話題になった DJ Marshmello のファンアートコラボレーションの一環として、浮世絵xDJ の作品を発表させていただきました。

妖怪をテーマにした理由を教えて下さい。

周知のことではありますが、最近「かわいい」という言葉をよく耳にします。海外の方にこの言葉を説明する時、ただ「キュート」というだけでは何か物足りません。「かわいい」とは概念であり、文化であり、また哲学でもあります。

一般的に、妖怪のお話は夏の暑さも吹き飛ぶような怖い物として認識されています。しかし、妖怪画に触れているうちに、それらの話が「かわいい」と思えるようになりました。例えば、「はじっかき」や「河童」のような妖怪は、物語だけでなく挿絵もとっても「かわいい」と思いませんか?
妖怪の何ともいえない可愛らしさ、怖さ、ユーモアに即座に私は惹かれました。

Eito Asano - Yokai NFT

NFTに参加したきっかけを教えて下さい。また、コレクターとの交流の場としてNFTについて何か思いがありますか?

恥ずかしい話ですが、私がNFTに参加した最大のきっかけはBeepleでした。デジタルイラストを販売する新しい方法として、NFTブロックチェーンがマスメディアに取り上げ始めたときから、私はすぐに夢中になりました。
多くの人にとってNFTはまだよく理解されていない分野であり、日本に限らずそれらの人はNFTに大して時間とお金を投資することに対して抵抗を感じていると思います。
一方、西洋でNFTコミュニティは日々成長しています。NFTを通じて世界中のアーティストや収集家と出会うことができ、とても幸運であると感じています。

NFTコミュニティはアーティスト同士が支え合って存在しています。私自身もNFTを通じて仲良くなったアーティストの友達からFoundationへの招待をしていただくことができました。ブロックチェーンに刻まれたこのような優しさの連鎖が、NFTアーティストとしての私の原動力となっています。

新しいファンやコレクターを獲得するために、現在どのように作品を販売していますか?

私は現在、百鬼夜行コレクションの制作に取り組んでいます。#NFTcharity というムーブメントのもと、売り上げの一部をNPO(非営利組織)に募金しています。私はこれまでに、Amnesty International UK LGBTI、UNICEF、Scottish SPCAに寄付してきました。
優しさの連鎖をNFTコミュニティの枠を超えて広げ、アートの力で様々な困っている人を助けることを、私は目指しています。また、私の作品を通じて世界中の方に日本文化に興味を持っていただければ幸いと思います。

私が浮世絵をNFTアートとして発行するまで、色々と試行錯誤しました。木版画の誕生はアート作品の大量生産を可能にしました。このような版画作品は、時には200毎以上刷られましたが、作品としての価値は、絵師直筆の物であったり、最初の10組程の物だけに付与されます。
デジタルアートは誰もが簡単にコピーし、保存することができます。しかし、所有権の証明は長年の課題となっていました。クリエイティブ・コモンズなど様々な手法が存在しますが、ブロックチェーン技術によってアーティストが作品に非代替性の署名をすることが可能になりました。
版画とNFT、これらの共通点に天啓を受け、デジタル浮世絵をトークン化いたしました。

先程も述べたように、浮世絵は大衆娯楽であり、アートとしては珍しく、庶民の生活に見事溶け込んでいました。私は自身のコレクションを通して、このような作家と観客の親密な関係を築きたいと思っています。
私の作品を購入してくださった方には、感謝の気持ちを込めて、似顔絵を浮世絵でプレゼントしています。
現在一部のNFTは信じられないような価格で取引されていますが、私の作品はより多くの方に浮世絵を楽しんでいただけるため、出来る限り低い値段で販売するようにしています。
更に、私の作品を購入してくださった方には、次に登場する妖怪を5つのデザイン画から一つ選んでいただいています。作品ごとに毎回違ったデザインを提出するので、なかなか骨の折れる作業ですが、コレクターがクリエイティブダイレクションに携わるという、一風変わったアプローチを目指しています。

私は現在医学生なので忙しいのですが、出来る限りの範囲で空いている時間を見つけては、複数のソーシャルメディアで自分をアピールするように心がけています。

日本でもNFTが普及し始めていますが、まだまだ浸透するには時間がかかりそうですね。いずれは日本でも人気を博すと思いますか?また、日本のコミュニティの反応はいかがですか?

アーティストに限って言えば、日本は長い道のりを待ち構えています。少なくとも3ヶ月は遅れているのではないでしょうか。

日本人は国民性として、お金の話に対してはとても慎重です。更に、既存のNFTコミュニティは英語での会話がスタンダードです。多くの日本のアーティストやコレクターにとって、言葉の壁は大きいのではないでしょうか。しかし、NFTのアイデアに対しては、徐々に多くのアーティストが興味を持ち始めているように感じます。今後日本のコミュニティがどのように発展していくのかが楽しみです。

日本のNFTプロジェクトで、他に注目すべきものはありますか?

つい先日、日本発のマーケットプレイスとして nanakusa さんがベータ版を公開されましたね。(https://nanakusa.io) 日本語ベースのプラットフォームということで、日本からより多くの方がメタバースに参加できる素晴らしいチャンスだと考えています。
とても嬉しいことに私は、公式アーティストとして選ばされていただきました。日本のNFTアートコミュニティの歴史の一部になれることを誇りに思います。

また、4月10日〜18日まで、mekezzoさん(https://twitter.com/mogmogvr)主宰でクリプトアートフェス(Crypto Art Festival)が開催されます。(http://conata.world)総勢90名以上のクリエイターの合計300点以上のアートが展示される(恐らく日本最大規模の)NFTアートフェスとなります。当日はDiscordでのアーティスト同士の対話など、色々なイベントが予定されていますので、是非お見逃しなく!

現在取り組んで作品について教えてください。次の予定などは特にありますか?

先日、Marshmello のファンアート浮世絵「狗神 白児」、また百鬼夜行コレクションの第三作目となる「蛇帯」を発表いたしました。
https://foundation.app/eitoasano

現在、次の発表に向けてコレクターの方と奮闘中です。

お待ちしている間に、耳寄りの情報をお教えいたします。

三枚続きの浮世絵:横長の浮世絵を3に区切り、各パネルを 0.3333 ETH で販売する予定です。このプロジェクトでは皆さんお待ちかねの「龍」を登場させようかと考えています。
3D浮世絵:それぞれのレイヤーに深度を与え、より複雑なアニメーションを与えられれば良いな、と思っています。

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Eito Asanoは、英国を拠点とする日本のデジタルアーティスト / 医学生。Foundation、Nanakusa、Rarible、Hic etNuncの認証アーティスト。隔週で新アートがリリースされ、彼のメインコレクション / デジタル浮世絵 / 百鬼夜行はFoundation.app/eitoasanoから収集できる。

Follow Eito Asano: Twitter | Instagram | Yokai Club

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Dennis Martin
dennis@trendandchaos.com

デニス・マーチンはミュージックプロデューサー / マネージャーで「トレンド&カオス」創立者。 Follow Instagram & Twitter.