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Ayane in Tetris

文音、ハリウッド進出への第一歩

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長渕文音さんが、タロン・エガートン主演映画『テトリス』で、ハリウッド・デビューを果たした。彼女は自身のツイッターで報告した。

[実話の映画化
誰もが知ってるゲームの
誰も知らないその裏側の物語。

遂に言える。
22歳で掲げた海外映画進出の夢。

追い続けオーディション受け続け10年絶対諦めなかった。]

デビュー作『三本木農業高校、馬術部/盲目の馬と少女の実話』で日本アカデミー賞新人賞受賞に輝いたあと、日本の映画や舞台で活躍を続けてきた文音さんだが、海外進出への努力を惜しまなかったのだ。
ニューヨークの演劇学校に留学し、数々のオーディションに通い、ようやくいま夢が叶った。

『ロケットマン』のエルトン・ジョン役で大絶賛を受けたタロン・エガートンが、またもや実在の人物を主演する新作『テトリス』。今回は、パズルの人気ゲーム「テトリス」を世に知らしめたビジネスマン、ヘンク・ロジャースに扮する。文音さんは彼の妻アケミ・ロジャース役に抜擢されたのだ。

2023年3月15日、映画『テトリス』の初プレミアがテキサス州オースティンで開催され、アメリカのレッドカーペットデビューを果たした文音さん。
流暢な英語で多くの取材に応じ、まわりからは役づくりの貢献と、なんと美しい!と絶賛され、アフターパーティでも多くの人たちが彼女と一緒に写真を撮りたいと寄り集まったと、現場の関係者が報告していた。

Tetris

Polina, Gillian Berrie, Amanda Ghost, Gregor Cameron, Maya Rogers, Taron Egerton, Henk Rogers, Alexey Pajitnov, Jon S. Baird, Noah Pink, Ayane Nagabuchi and Akemi Rogers attend the world premiere of the Apple Original Film “Tetris” at the Paramount Theatre at the SXSW Film & TV Festival 2023.

Q: 3月15日、テキサス州オースティンで映画『テトリス』のプレミアが開催されました。前日に、日本から駆けつけたあなたですが、アメリカでの初レッドカーペットの体験はいかがでしたか。

Ayane : 車から降りるまではとても緊張していたのですが、いざ車を降りたら沢山の報道陣を目にし、観客のエネルギーに圧倒され、緊張している余裕もないほど楽しかったです。

Q: 2020年11月、映画『テトリス』のアケミ・ロジャース役に抜擢され、急遽、一人でスコットランドへ飛び立ったあなた。コロナ・パンデミックの真っ最中の撮影で苦労があったと思いますが、何を思い出しますか。

Ayane : 2日置きにPCR検査をしたり、2週間の隔離やロックダウンなど、たくさん制限された中での撮影でした。
いま考えると、大変な時期に撮影していたんだなとは思います。

でも不思議と思い出すのは、ロックダウン中の綺麗な街の景色や、スコットランドのスタッフとの良い思い出ばかり。
最初は緊張していましたが、撮影が進むにつれて撮影クルーや共演者とも段々と仲良くなり、今でもスコットランドのメイクさんとは連絡を取り合っています。
普通の撮影のときよりも、みんなでパンデミックを乗り越えて創り上げようと、一致団結していた特別な環境だったと思います。

Q: 撮影現場では、どんな驚きがありましたか。日本との違いを感じましたか。

Ayane : 1番驚いたのはブロッキング(注:役者やカメラ位置を決める作業)です。日本ではブロッキングをする時、大体動きはクルーサイドである程度固めてから役者を入れる、というスタイルなんですが、
今回はまずセットに監督と役者だけが入ってどう動くのか入念な打ち合わせをしてから、初めて撮影クルーを呼んで、監督と役者で決めたブロッキングを披露するという形で進みました。

このやり方は役者も一緒に作品を創り上げているんだ、という実感を強烈に感じましたね。
撮影スタッフはその動きに合わせて自分がどう撮るかをそこで判断し、芝居部分は監督と役者が主体で動いていた。映画作りにおいて日本もこうあるべきだと強く思いました。

Q: タロン・エガートン演じるヘンク・ロジャースの奥様を演じるのは、どんなチャレンジでしたか。

Ayane : 実在している人物を演じるわけですから、やはりそこは丁寧に忠実に、その人物像を捉えようと意識していました。彼女について沢山調べましたし、もちろんヘンクのことも調べました。

幸運にも撮影前にご本人とお話し出来る機会を頂いたので、長い時間、2人で話して沢山のことを聞けたんです。それが、とっても今回の役作りに影響していると思います。
アケミ・ロジャースの人物像や、当時、何を思い何を感じていたのかが会話の中から明白に見えたので、それをキャラクターに入れることが出来ました。

Ayane - Tetris
Ayane - Tetris

Q: この作品で、ハリウッド・デビューを果たしました。それはあなたにとって意義あることでしたか。

Ayane : もちろん、とっても意義のあることです。
長年の自分の夢でしたから。
完成した作品を見て、自分が憧れた世界への第一歩を踏み出したんだ、という喜びと同時に、自分のパフォーマンスの改善点や次への課題が見つかりました。
今はまだまだ、もっと成長し続けなくてはいけないなと思っています。

Q: 日本で生まれ育ったあなたは大学卒業後、女優の仕事をしながらもアメリカの演技学校へ通う決心をし、一人でニューヨークへと旅立ちました。日本に戻って女優業を続け、今度はスコットランドへと飛び立ち、ハリウッド業界への道を開拓。
言葉の違う異国へと開拓していくスピリット、一人で新しい環境に身をおける強さは、どこからくるのでしょうか。

Ayane : 実は、私は人一倍、自信が無いのです。そして本当は内向的。

芝居には正解がないですから、答えはいつもない。
そこで信じれるものは最終的には自分だけ。だから学び続けたいと思うんです。
その一心が自分を突き動かしているのだと思います。

そのためなら怖くても、言葉の違う異国へも行ける。少しの勇気とそこに強い情熱があれば、何だって出来る。
新しいドアは開かなければ、何が広がっているか分かりませんからね。
結局は、凄く芝居が好きなんだと思います(笑)。

Q: 自分に自信がないときでも、本当に信頼できるのは自分だけ、と思えるようになったんですね。それは、あなたにとって、自己の旅路の過程だったのでしょうか? 現在の自分をどのように受け入れていますか。

Ayane : 努力からしか自信はやってこないと痛感しています。
小さな努力の積み重ねが、いつか自信に変わります。
今でも自信がないから、その為に私は一生懸命準備をします。不安要素をひとつずつ消化していく様に。

一つの事のために一生懸命に準備をすれば私はこれだけ準備をしたんだから大丈夫、と自信に変わりますが、逆に準備をせずに立ち向かえば自信はどこからもやってきません。

失敗も沢山しているし、毎回反省だらけだけれども、その失敗を次に活かせればそれが自信に変わります。
そうやって少しずつ前に前に進んで行くんです。現在の私はまだまだその旅の途中です。

いろいろな人がいろいろな事を言いますが決めるのは自分自身ですから、結局は自分をどこまで信じてあげられるのか、信じれるまでの過程を、自分で自分に作ってあげる。
常に満足せずに、そうやってやってきたような気がします。
どちらにせよ、私はそうしないと不安で居ても立っても居られなくなっちゃいます(笑)。

 

世界に飛び出した文音さんに注目!
映画『テトリス』は、Appleの動画配信サービス、Apple TV+で2023年3月31日より公開。

 

Follow Ayane: Instagram | Twitter

Photography by Tomas Segura (except cast group photo)

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Yuka Azuma あずまゆか
yuka@trendandchaos.com

ハリウッド映画スターへのインタビュー歴、30年以上。NY在住。訳書にマーク・デヴィッドジアク『刑事コロンボ』(角川書店)、同『刑事コロンボの秘密』(風雅書房)、フランク・サネロ『ジュリア・ロバーツ 恋する女神』(講談社)『ヴィダル・サスーン自伝』(髪書房)がある。