6月 01, 2019 仮想現実ポップスターとホログラムに、脚光を盗まれるのか?
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ニュースやYoutubeで新しい音楽グループをチェックするタイプだったら、もう気づいていることでしょう。未来からやってきたみたいなものが目の前で繰り広げられていることに。私たちの考える音楽という概念やエンターテイメント自体を変えてしまう音楽現象が、世界で旋風を巻き起こしているということに。たとえ、あなたが予測してなくても、欲しがってなくても、もうそれは本格的に進んでいる。バーチャルポップスターとホログラムは、もうすでにヒットを飛ばしている!
その大きな例は、2018年11月、ライアットゲームズ開発のゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」(LoL)がリリースした新ミュージックグループK/DAのミュージックビデオ。「スキン」として知られる新美的感覚のプレー可能のチャンピオンたちが、ビデオにフィーチャーされた。オンライン・バトルアリーナのビデオゲームから、音楽シーンへデビュー!YouTubeで2億1,300万回以上の視聴を記録。このビデオのスターは誰かって? それは、143人のゲーム・チャンピオンの中の4人、アーリ、イブリン、アカリ、カイ=サ。完全にアニメ化された4人がスターなのだ。このホットなK-POPグループのメンバーたちは、いままでのスタンダードを一気に覆して音楽界に殴り込み。
楽曲“POP/STARS”を歌うのは、アメリカのシンガーでモデルのマディソン・ビアー、アメリカのシンガーソングライターのジャイラ・バーンズ、K-POPグループ(G)-IDLEのメンバーたちソヨン(チョン・ソヨン)とミヨン(チョ・ミヨン)。
マディソン歌うのは、イブリンのパート。イブリンは歓喜のために人間を死の果てまで誘惑に追いやる悪魔で、K/DAスキンは「No.1ディーバ」と呼ばれている。ジャイラが歌うのは、カイ=サのパート。カイ=サは彼女の村を飲み込んだヴォイドのサバイバル者で、K/DAスキンはグループの勤勉なリードダンサー。ソヨンが歌うのはアカリのパート。アカリは孤独な暗殺者で、K/DAスキンは”リリカルで大胆なラップとパンクニンジャスタイル”のストリートパフォーマー。ミヨンが歌うパートは、もっとも人気のチャンピオン、アーリ。人々の生気のエッセンスを追う9本の尻尾を持つ魔法使いで、K/DAスキンは”最先端ファッション、エレガント、美しいセレブ”。
K/DAは、2018年、韓国で開催された「リーグ・オブ・レジェンド」世界大会の決勝戦でパフォーマンスを披露した。チャンピオンのアニメキャラクターたちが、それぞれの人間版とともにダンスしたのだ。この奇妙なK-POPグループはチェックする価値あり。探求する余地も大いにあり。チャンピオンとのインタビューをチェックしたり、彼女たちの伝承を読んだり。そして、このチャンピオンの背後で実際に活躍している本物のセレブの音楽も聴いてほしい。まずは、(G)-IDLEのミュージックビデオで彼女たちの楽曲 “LATATA” を聴いてみて。
初音ミク – 3DのJ-POP
アニメポップスターは何も新しいものではない。音声合成ソフトウェアのVOCALOID(ボーカロイド)を駆使することで、アニメキャラクターが、歌うポップセンセーションになり、アメリカまで遠征ツアーするほどの大成功を収めている。クリプトン・フューチャー・メディアが世に送り出した初音ミクは、ブルーのお下げ髪の16歳の女の子。彼女のコンサートは通常では別々に楽しむ世界を一緒に楽しめる独特の体験をファンに提供する。コンサートではミクの立体的な3Dレンダリングが歌い、踊り、ファンも交流。彼女に会える。楽曲「The World is Mine」や「SNOW MIKU LIVE! 2018」で彼女のパフォーマンスをチェック。
「完璧すぎ」なんてこと、あり?
仮想現実ポップスターと、人間アーティストのパフォーマンスには、あからさまな違いがある。バーチャルの場合、技術的な困難に直面する可能性以外は、スムーズに間違いないパフォーマンスは保証付。パフォーマーたちが同レベルで確実なコンサートを毎回、披露できる。人間が抱えるトラブルとは縁ナシ。ショーの前日に彼氏と別れたとか、体調を崩したとか、キャンセルするとかいう問題はナシ。それは仮想現実ポップスターを操作する裏の人間らにとっては都合の良い点ではあるものの、音楽を愛する人たちにとっては物議を醸すものかもしれない。
「完璧すぎ」という問題が、あるのだろうか。多くの人々にとって、時折、生身のアーティストたちがパフォーマンス中に見せる変化や失敗はアピールでもあるのだ。K/DAや、初音ミクのようなVOCALOID(ボーカロイド)アーティストたちを提供するため、音楽やエンターテイメントとは何かという私たちの考えを音楽業界は再形成しているのかもしれない。
K/DAは、VOCALOID(ボーカロイド)のポップスターたちと比べると、私たちが音楽として知っている形により近い。K/DAは実際の人々たちがヴォーカルを提供し、舞台では実物の人間としてダンスを披露するわけだから。でも彼女たちの連れのアニメは、イメージから性格まで「リーグ・オブ・レジェンド」(LoL)のクリエーターたちによって決められたもの。でも、だからと言って、彼女たち個性の魅力が欠けているわけではない。各キャラクターの背後にあるバックストーリーと個性的なスキンが、ゲームへの支持に貢献し、2018年時点で8100万人から1億人のプレイヤーが世界中に存在している。
一方、初音ミクは、彼女のコンセプトに付随する人間の顔はなし。それでも、クリエートされた彼女の個性で、彼女はファンたちから愛されている。そしておそらくまさに、そんな彼女のルーツだからこそ、ファンは彼女を愛しているのかもしれない。国内外でのアニメ文化の成功、そして他のアニメエンターテイメントの成功は、観客は人間以外のキャラクターに対しても偏見を抱いていないことを示している。
ホログラムがツアーに
この現実が、アニメーションが音楽業界を揺るがす導きになるのは時間の問題だったようだ。すでに、ホログラム制作会社Eyellusionが、ロニー・ジェイムス・ディオのホログラムツアーを行っているし、ホログラムのツアーは増える一方。フランク・ザッパのホログラム・ライヴ・ツアー “The Bizarre World Of Frank Zappa”、スウェーデンのポップバンドABBAのバーチャルツアー、それにグライムスのような若いアーティストでさえ、ホログラムにツアーをやってもらえればライブのあがり症には助かると発言している。
K/DAやツアーする多くのホログラムから学んだことがあるとしたら、それは、私たちの音楽への愛はあらゆる次元やプロダクションの方法に向けられている、ということ。初音ミクのように成功したVOCALOID(ボーカロイド)が道を切り開き、K/DAのような革新的なグループに未来へ連れて行かれる。私たちは音楽テンターテイメントにとって興味深い時代に向かっているのかもしれない。
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ゾイは「トレンド&カオス」のスタッフライター・編集者。20歳でニュースクール大学を首席で卒業し文学士号を取得。現在はNY市の大学院で文芸の修士課程を勉強中。Instagram
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