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Cuushe - "Magic"

「Magic」を放った日本発のドリームポップ・アーティストCuusheとのインタビュー

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ドリームポップ・アーティストのCuusheによる新しいプロジェクト「FEM」のレビュー後、私たちは彼女の素晴らしいソロ作品の数々にダイブしっぱなし。

Cuusheの音楽は、リリースごとに、それぞれユニークな独自の形成と構造を披露してくれる。でもそれらをつなぐ糸は、彼女の声の持つ神秘的な品質によって結ばれている。
それは、純粋でインスピレーションに富む、なんとも不思議なサウンドだ。

Cuusheとして知られる彼女の本名はMayuko Hitotsuyanagi。
彼女がニューシングル「Magic」をリリースし、このミュージックビデオは、イラストレーター/アニメーターの久野遥子の美しく気まぐれな奇妙さのあるアニメーションによって、さらにスペシャルなものになった。ビデオのディレクターである田島太雄と共に、このコラボは、彼女の最高と呼べる作品の一つを生み出したと言えるだろう。

私はCuusheと(ヴァーチャルに共に)腰をおろし、彼女の創造的なプロセスについてインタビューした。

あなたは世界中あちこちの都市に住んできました。そのような経験が、あなたの書くテーマや作る音楽の種類に影響を与えたと思いますか。

学校に毎日通ったり会社でフルタイムで働いたり、並行して音楽制作をすることは当時の自分の体力では限界があり、アルバムを作る時にはいつも音楽だけに集中して制作ができる環境を作っていました。その延長に海外での生活がありました。

生活や経験は、自分の作る音楽にもちろんダイレクトに繋がります。
特に歌詞はその時の思考や住んでいる場所、社会状況などが反映されていると思います。
ベルリンでは現代美術家の方の持つアパートで暮らして、音楽以外のたくさんのアーティストとも知り合えましたし、彼らの生活を見て、「こう生きなくてはいけない」という知らず知らずに培われていた固定観念が壊れていきました。

音楽的にも京都の田舎で生まれ育ったので、風景に溶け込むような幻想的な音楽を好んでいましたが、日本よりも気軽にたくさんのライブを見たりクラブにも行けたりしたので、テンポの速い音楽を志向するようになった契機にもなりました。

何より様々な都市で住むことで、音楽そのものよりも、日本での生活や社会に対して客観的な視点を持てたことが非常に大きかったですね。

Cuusheの音楽には、多くの美しいテクスチャのレイヤーがあり、異世界のサウンドスケープがクリエートされていくようです。曲作りやレコーディングのプロセスを教えてください。

自分にとって音楽を作ることは、現実からの逃避だったり浄化みたいなものなので、非現実的な、夢の中の音みたいなものをいつも探しています。
だからどこか宇宙と繋がっているような、幻想的なシンセサイザーの音作りからはじまることが多いです。

以前はビンテージのアナログ・シンセサイザーを持っていたのですが、ベルリンに引っ越した時に売ってしまったので、そこからはほぼMIDIシンセとギターです。
リズムや背景には雑踏の音や工事現場などから録音したフィールド・レコーディング、映画から取ったサンプリングを散りばめています。

今回は音作りそのものよりも、様々な音や声を入れ込んでレイヤーを聴かせる、というところに重きをおきました。
今は少ない音を効果的に響かせることが主流だと思うのですが、自分の個性はそこにはない気がして、プロダクションを手伝ってくれたausくん、ミックスをお願いしたマル(Mitsushi Maruyama)と納得のいく音像を突き詰めていきました。

「Magic」のビデオのアニメーションが大好きです。アニメーターの久野遥子さんと監督の田島太雄さんとのコラボについて語ってもらえますか。

元々RayonsさんのWaxing MoonのMVを見てから田島さんの作る映像が大好きで、数年前に依頼して、お互いアイデアを出し合ったりしていました。

その後事件に遭ってからなかなか音楽制作が進まず、ようやく去年アルバム制作が軌道に乗ってから改めてお願いしました。久野さんのアニメーションを入れることになったのは田島さんのアイデアで、田島さんがチベットに行った際に撮りためた映像と合わせてみたいとのことで、田島さんから久野さんに依頼してくれました。
アニメーションのストーリーは「Magic」の歌詞と田島さんが用意した(MVの舞台にもなっている)チベットの民話からインスピレーションを得て作ってくれているそうです。

歌詞は友人の恋愛関係からインスパイアされたものですが、誰しも囚われてるものがあって、それは人間関係でも住んでる場所とか価値観みたいなものだったり、良いもの悪いもの様々なものがあると思うんですが、そういうのを声を上げることによって壊したり、逃れられたりできる、という希望について書いています。

コロナは世界中の音楽とアートのコミュニティに影響を及ぼしてきました。この困難な時期に、日本のアーティストたちはファンたちとのつながりを維持していくために、どう取り組んできたと思いますか。

ライブができなくなった今、オンライン・ライブだったり無観客ライブだったり、SNSを通じて今までと違った音楽の届け方を工夫を凝らして進められていると感じます。

つながりということではないですが、コロナ禍において多くの人々が経験のない困難に直面する中で、誰もがお互いをサポートするために努力すること、政府に対して全ての人達にサポートを提供するように声を挙げられているアーティストの皆さんに力をもらっています。

私自身はここ数年生活することに精一杯で、余力のない日々が相変わらず続いていますが、できる限りソーシャルにも目を向けていけれぱと思っています。

何かファンが喜びそうなCuusheの次の企画など、ありますか。

「WAKEN」のリミックス集をリリースする予定です。これまでの作品でも様々なアーティストに参加してもらいましたが、今回もIglooghost、submerseくんを始め、制作の時に聴いていた大好きなアーティストの皆さんにも参加してもらっています。

今年春にシングルを出したFEMや、他のアーティストとのコラボレーションなども徐々に進めていきたいと思っています。

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Dennis Martin
dennis@trendandchaos.com

デニス・マーチンはミュージックプロデューサー / マネージャーで「トレンド&カオス」創立者。 Follow Instagram & Twitter.